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相続法の改正(遺産分割にまつわる期間制限)

相続法の改正(遺産分割にまつわる期間制限) 

 

令和3年4月に改正された相続に関する民法の規定が本年(令和5年)4月1日から施行されます。 

その中でも、身近に起こりうる問題である相続後の遺産分割についても、改正された新しい規定が適用されることになりますので、その概要について説明します。 

これまでは遺産分割に期限は存在せず、相続開始後たとえ何十年経過していたとしてもこれを行うことができ、協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることで、被相続人の生前になされた特定の相続人への贈与(特別受益)や被相続人の生前に特定の相続人が長年に亘って療養介護を担っていたこと(寄与分)等の実情を考慮した実態に即した解決を裁判所において図ることが可能でした。 

具体例を挙げて説明します。例えば、被相続人Xの相続財産3000万円であり、相続人は被相続人の子A、B、Cの3名であったとします。この場合、法定相続分によって相続した場合、A、B、Cが同順位の相続人であるため、それぞれ3分の1である1000万円を相続することとされます。 

この説例において、子Aが被相続人Xの生前に500万円の贈与を受け、また、子Bは被相続人の生前20年以上に亘って被相続人の介護を担ってきたとします(資産形成に500万円の貢献があったものと仮定します。)。その場合には、AはXの生前に500万円の贈与を受けていること、Bは被相続人の生前の資産形成に金額にして500万円の貢献をしていることが考慮され、A、B、Cそれぞれの具体的な相続分は、Aが500万円(1000万円から特別受益500万円が控除される)、Bが1500万円(1000万円から寄与分500万円が加算される)、Cが1000万円と計算され、当該相続分により遺産分割がなされるのが通例でした。 

もっとも、本改正により、相続開始時から10年を経過した後には場合には、相続人が上記で述べた特別受益や寄与分を主張することは認められず、法定相続分による相続がなされることが原則とされました(相続人間で全員の同意があれば、これまで通り、特別受益や寄与分を踏まえた実態に即した解決が可能ですが、相続人全員の同意がない限り、特別受益や寄与分の主張は排斥され、法定相続分により相続されることとなります。)。 

このように、本改正により、遺産分割に10年の期間制限が設けられましたので、身内の方が亡くなられた際には、可能な限り早く遺産分割を行うことが推奨されます。 

本事務所においては、遺産分割を含めた相続に関する事案も取り扱っておりますので、お困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。 

文責 弁護士 坂 田  優