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弁護士会について

こんにちは。

川田浩一朗です。

 

今年の4月から、沖縄弁護士会の本年度副会長を務めています。

 

みなさんには、弁護士会という組織がどのような組織で、どのような業務をしているのか、あまり馴染みがないと思いますので、この場を借りて紹介させていただきたいと思います。

 

弁護士会の目的は、弁護士の品位を保持と、弁護士の事務の改善進歩を図るために、弁護士(及び弁護士法人。以下も同様です。)の指導、連絡、監督をすることにあります(弁護士法31条1項)。

個々の弁護士が品位を害するようなことをしないようにきちんと指導・監督し、必要があれば懲戒等の手続きをとること。弁護士の業務が依頼者の方にとってより良いものとなるように、研修を行ったり、情報提供をしたりすること。

専門分野を取り扱う以上、会員の質の維持・向上のために、会員を指導・監督等しなければならないことは他の国家資格団体でも同じことなので、他の国家資格団体などでもこれらの業務は行われていると思います。

しかし、弁護士会には、他の国家資格団体と異なる点もあります。弁護士は依頼者の権利を守るために、時には国や都道府県とも争うことがあります。自分を指導・監督する立場にある人を相手方にして争うことを想像してみてください。依頼者の方からしても、自分が依頼している弁護士は、あとで怒られたりしないように、国に対して手加減しているのではないかと不安になりませんか?

そこで、そのようなことにならないよう、弁護士には他の国家資格団体と異なり、監督官庁がありません。弁護士に対する指導・監督は、国ではなく、弁護士自身が行うことになっています。弁護士に対する懲戒(場合によっては弁護士資格をはく奪することもあります。)も弁護士自身が行うことになっています。また、弁護士会に所属しなくても弁護士業を行うことができることにすると、弁護士会による指導・監督が徹底できないので、弁護士会に所属しなければ弁護士業務を行うことができないことになっています。

このように、弁護士会は、他の国家資格団体と同様、会員の品位を保持するため指導・監督、及び業務に必要な研修・情報提供を行いますが、他の国家資格団体と比べてその指導・監督権限はより強いものとなっています。

沖縄弁護士会には、会員の品位を保持することを目的として、懲戒委員会、綱紀委員会、紛議調停委員会、資格審査会、業務適正化調査室といった委員会があります。また、業務に必要な研修・情報提供を行うことを目的とした研修特別委員会があり、そのほかの各種委員会でも研修や情報提供を行っています。

 

弁護士会の業務は、これらの業務に限られません。

弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義の実現することが使命です(弁護士法1条)。個々の弁護士が、それぞれこの使命を負って弁護士業務を行っていますが、一人の弁護士では実現が困難ないし不可能なものもあります。

沖縄弁護士会には、50を超える委員会、ワーキンググループ、プロジェクトチームがあります。先に挙げた懲戒委員会や研修特別委員会などもこの委員会の一つですが、他にもたくさんの委員会があります。人権擁護を目的とし、人権救済申し立てに対応する「人権擁護委員会」。刑事弁護事件に関する事項を取り扱い、裁判所・検察庁・警察に協議申し入れを行ったり、取り決めをしたりすることもある「刑事弁護委員会」。少年事件やいじめ問題などに取り組む「子どもの権利に関する特別委員会」。憲法問題を取り扱う「憲法委員会」。成年後見関連、高齢者や障害者に対する虐待問題、遺言相続問題等に取り組む「高齢者・障害者等権利擁護特別委員会」。自殺予防、自殺対策問題に取り組む「いのちみつめる特別委員会」等々。各弁護士は、それぞれの弁護士業務の他、これらの委員会活動を通じて、基本的人権の擁護及び社会正義の実現のために日々いそしんでおります。(ちなみに、当事務所の弁護士はいずれも委員会活動に積極的に取り組んでおり、川崎弁護士は6つもの委員会に所属しています。)

 

他にも、弁護士会は、法律相談窓口や紛争解決機関を設置し、その案内・受付業務も行っています。沖縄弁護士会では、一般法律相談のほか、中小企業法律相談、女性のための法律相談、犯罪被害者支援相談、多重債務者無料法律相談、子どもの悩み事110番といった相談窓口を設置するとともに、交通事故示談あっせんや紛争解決センターを設置・運営しています。

 

弁護士は、通常、それぞれ自身の所属する事務所で業務を行っているため、弁護士会館に常駐しているわけではありません。

そのため、これまでにあげた弁護士会の業務を行うためには、弁護士会の職員を採用する必要があります(法律事務所も弁護士会も、事務職員なしでは成り立ちません。)。職員の採用、勤怠管理、給与計算といった業務も弁護士会の業務となります。

弁護士会の業務を行う上で発生する収入・支出といった財務会計管理業務、弁護士会の業務に関連して文書を発信すること、及び文書の受付処理をすることも弁護士会の業務になります。受付処理する文書の数は年間3000通を超えることもあります。

弁護士業務に関連する社会問題が生じたときに、それに対する意見を「決議」、「会長声明」、「会長談話」という形で表明することも弁護士会の重要な役割です。

 

以上のとおり、弁護士会の業務は非常に多岐にわたります。沖縄弁護士会では、弁護士会会長(1名)、副会長(4名)、理事(7名)からなる執行部がこれらの業務の取りまとめをしております。

副会長としての業務は広範に及び負担も大きいのですが、意義のある重要な職務として、やりがいを持って取り組んでおります。加えて、ここで得られた知識や経験を日常の弁護士業務に活かし、当事務所の関係者皆様に還元することができればと思っています。

 

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

弁護士川田浩一朗