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性的マイノリティに対する権利保障

昨今、性的マイノリティの権利擁護についての議論が盛んです。人の性的指向(Sexual Orientation)や性自認(Gender Identity)は十人十色で、我々は皆、本来グラデーションのどこかに位置しており、それは個人の「いち個性」に他ならないため、相手の性格を互いが認めあうように、それぞれが相手の性的個性を認め、尊重する社会を実現しようという議論です。

そんななか、先日沖縄県宜野湾市議会で、「市男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」案をめぐる審議が行われましたが、「性的指向」や「多様性」などの文言を理由に主要与党会派が反対したため、否決されるという事態が起きました。反対した議員の意見は「議論が不十分」といったものでしたが、性の多様性の問題を正しく理解しているのか、甚だ疑問なしとしません。

目を国外に転ずれば、本年6月、米国連邦最高裁が「職場での性的マイノリティの差別が公民権法に定める『性別による差別』にあたり、違法である」との判断を下し、世界的に話題となりました。何十年にも及ぶ当事者たちの戦いが実を結んだ結論といわれていて、彼我の違いを感じさせます。

ただ、日本においても進展がないわけではありません。例えば、昨年12月12日に東京地裁で言い渡された「経済産業省事件判決」です。これは、身体的に男性であるトランスジェンダーに対して、職場の女性トイレを自由に使用させることを命じた事例で、職場における性的マイノリティの権利を正面から認めた点で、とても意義ある先例となりました。今後も、このような判断が積み重ねられる必要があります。

我々はどうしても、「男はこうあるべき」、「女性は男性と交際するもの」といった、ジェンダー・バイアスを抱きがちです。しかし、本来、人間の性は男女のどちらかに限ったものではなく、一連のグラデーションのなかに、豊かなバリエーションのある形で存在するものと考えるのが正しいのではないでしょうか。

このような理解を通じて、誰もが住みやすい、バリアの少ない社会が実現することを願っています。弁護士法人天方川崎法律事務所は、性的マイノリティの方々の権利擁護活動を支援しています。

文責 弁護士 天方 徹