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家事事件についての国際管轄の明文化
平成30年4月18日、人事訴訟法等の一部を改正する法律(平成30年法律第20号)が成立し、家事事件についての国際管轄の定めが明文化されました。
最高裁判所事務総局家庭局の調査によれば、平成29年に裁判所が新たに受け付けた当事者の全部又は一部が外国人である離婚訴訟は、616件あり、全体の離婚事件の7%以上を占める数になっております。
それにもかかわらず、これまで、家事事件についての法律(人事訴訟法及び家事事件手続法)には、国際的な要素を有する家事事件(当事者の全部又は一部が外国人である離婚訴訟や親権に関する審判事件、養子縁組をするについての許可の審判事件など)について、どのような場合に日本の裁判所が審理・裁判をすることができるか、という国際裁判管轄に関する規律について、明文の規定がありませんでした。
そこで、国際的な要素を有する家事事件の適正かつ迅速な解決を図るため、本改正により、これらの事件に関して日本の裁判所が審理・裁判をすることができる場合等が定められました。
例えば、改正法では、夫婦の一方が他方に対し提起した離婚訴訟事件について、次のような場合に、日本の裁判所で審理・裁判をすることができるものとしています。
- 被告の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき
- その夫婦が共に日本の国籍を有するとき
- その夫婦の最後の共通の住所が日本国内にあり、かつ、原告の住所が日本国内にあるとき
- 原告の住所が日本国内にあり、かつ、被告が行方不明であるときなど、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があるとき
本改正法は、平成31年4月1日より施行されます。
文責:弁護士 坂田 優