労働基準法改正について
2026年に予定されていた労働基準法の抜本的改正は、「約40年ぶりの見直し」として注目を集めてきましたが、2026年1月現在、法案提出自体が先送りされる見通しとなりました。
現時点では、改正法の先行きは不透明となっていますが、どのような議論がされているかを把握しておくことは、今後の働き方を考えていくうえで使用者側・被用者側いずれにとっても有用と思われますので、改正法における議論を確認していきたいと思います。
1 13日を超える連続勤務の禁止
現行法では、「4週4日」の変形週休制の特例が認められています。「4週4日」とは、一定の要件のもとに、4週間で4日の休日を設定することです(これだと、24日連勤も可能となってしまいます)。
この点について、「2週2日」を基本とする見直しが議論されており、そうすると13日を超える連続勤務が禁止されます。これは、シフト勤務や変形労働時間制を採用する企業に影響が出ると考えられます。
2 法定休日の明確な特定義務
休日には、所定休日と法定休日の2種類がありますが、労働者の立場でその違いを考えたことがある方は少ないと思います。しかし、所定休日か法定休日かによって、労働者が休日労働した場合に支払う割増賃金の計算方法が異なるため、実はそこには大きな違いがあるのです。
週休2日制が普及した現在、法定休日をあらかじめ就業規則などで特定することを法律上義務付けることで、労働時間管理の正確性が増し、割増賃金や振替休日の運用も明確になると考えられています。
3 勤務間インターバル制度の義務化
終業時刻から次の始業時刻まで一定時間の休息時間を確保する「勤務間インターバル制度」の義務化が検討されています。
勤務終了後、次の勤務開始までの間隔が短いと、従業員が十分な生活時間や睡眠時間を確保できなくなります。そこで、11時間以上の休息時間を設ける必要が検討されています。深夜勤務や交代制勤務を行う企業への影響が大きいと考えられますが、業種や勤務形態による例外や段階的実施も議論されているようです。
4 その他
他にも、一人の従業員が複数の企業で働く場合の労働時間管理と割増賃金算定ルールが見直し、部分的なフレックスタイム制の導入、36協定などを締結する労働者代表(過半数代表)の選出プロセスを厳格化する改正なども議論されています。
その中でも興味深いのは、勤務時間外や休日に仕事の連絡への対応を拒否できる「つながらない権利」についても議論されている点です。みなさまの中にも、業務時間外に勤務先から連絡を受けたことがある経験のある方は多いのではないかと思いますが、テレワークや在宅勤務の普及に伴い、勤務時間外の業務連絡や指示が問題視されており、企業は従業員のプライベート時間を尊重すべきとして、「つながらない権利」のガイドライン策定が検討されているのです。
法改正の行方は流動的ではありますが、たとえ法案が先送りされたとしても、今回の議論を通じて浮き彫りになった課題は、企業の労務管理の方向性を問う重要なメッセージです。この点、当初の法改正の柱は「労働時間規制の強化」といわれていましたが、現在は「柔軟な働き方」を重視する姿勢が強まっているともいわれています。今後、改正法がどの方向に進んでいくのか、日本の未来を占うという意味でもその動向に注目です。