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生成AIについて

みなさんは生成AIを利用されていますか?

生成AIとは、データのパターンや関係を学習し、テキスト・画像・音声・動画・プログラムなどの新しいコンテンツやアイデアを新たに生み出す(生成する)人工知能(AI)などと定義されます。

従来のAIでも、データの整理・分析を学習し、その結果に基づいて適切な答えを予測し、その結果を出力することはできました。これにより、人間が行う作業を大幅に自動化、効率化することができるようになりました。しかし、出力される結果は、あくまでも与えられたデータの範囲内での予測や分析・分類に過ぎませんでした。

これに対し、生成AIでは与えられていない情報やデータをも取り込み、自ら学習し、AIが考えた新たなアイデア等を作り出すことができるようになっています。

生成AIでは、テキストデータ(文章、要約、翻訳、誤字チェック等)、画像(イラスト、デザイン等)、動画(広告、アニメーション等)、音声(ナレーション、楽曲等)、プログラム(修正や解説も)、ビジネス資料(プレゼン資料、提案書、メール文面、データ分析等)を、ゼロから新たに作成することもでき、作業効率が上がるだけでなく、クリエイティブ作業支援までできるようになっています。

生成AIの性能も日々進化しており、アメリカでは生成AIに司法試験を受験させたところ、上位10%に入る成績を出したとの報道もあります。日本の司法試験は問題文が長いこともあり、生成AIが合格点をとることは難しいのではないかと言われていましたが、2025年には選択式試験においてほぼ満点の成績を出したとの報道もあります。日本の司法試験のうち、論文試験については、いまだ合格水準の答案を作成したとの話は聞きませんが、これについても近い将来実現するかもしれません。

かつては、人工知能が発達した場合、現在人間が行っている単純作業は人工知能を搭載した機械にとってかわられる可能性が高いが、専門職については思考力・判断力・コミュニケーション能力が必要不可欠であることから人工知能にとってかわられることはないだろうなどと言われていました。しかし、生成AIの発達により、現在では、むしろ税理士、経営コンサルタント、弁護士といった専門職の方が人工知能にとってかわられるのではないかともいわれています。

もっとも、このように便利な生成AIについても、リスクは存在します。

生成AIの回答は、必ずしも正しいとは限りません。もっともらしい誤り(ハレーション)を含むことがあります。適切な情報を得るためには、適切な質問・適切な条件設定をする必要がありますし、重要な事項については第一次情報や出典を確認するなどの対策が不可欠です。最近では、誤った情報・画像・動画等を生成AIで作成し、それをネットに流す人もいます。これをそのまま鵜吞みにして、拡散することによりトラブルに巻き込まれる事件も発生しています。情報の正確性には注意が必要です。

また、AIに入力した情報は、外部のサーバーに送られ、その情報が保存・学習に使われる可能性があります。個人情報や会社の機密情報等をAIに入力しない様、注意が必要です。

生成AIは、ウェブ上のテキスト、小説、人物の肖像、映像、音楽などを学習する結果、生成AIが作成した創造物が、既存の作品の著作権、商標権、肖像権などを侵害するものである可能性もあります。

更に、生成AI自体には倫理観があるわけではないため、創造物に倫理的な問題が含まれる可能性もあります。特定の人物や、特定の地域・国・宗教の人を差別するような内容を含んだり、偏見が反映されたりする可能性もあります。

これらのように、生成AI利用の際に、誤った情報を信じて行動し、情報漏洩し、著作権等の侵害をし、差別的な内容を公開することにより、損害賠償請求や差止請求をされる可能性もあります。

生成AI利用により、作業の効率や正確性が高まる、誰でも様々なものを創造できるといったメリットがあり、余暇時間や報酬・売り上げが増加する、これまで支出していた経費を削減できる、より自身の好みに合った楽曲や画像により人生が豊かになるといった結果につながるかもしれません。

しかし、上記のようなリスクもありますので、生成AIの利用に際しては注意も必要であるということにご留意ください。

ここまで書いたところで、生成AIに、「『生成AIを利用する際に注意すべき』というテーマで、1000字のコラムを作成して。」とお願いしてみました。以下は、生成AIが作成した文章です。

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近年、生成AIや画像生成AIの登場により、誰でも手軽に文章やイラスト、資料を作成できるようになりました。業務効率化や創作活動の支援など、AIの利便性は計り知れません。しかしその一方で、法的リスクやトラブルの可能性があることも忘れてはなりません。

まず注意すべきは、著作権の問題です。AIが生成した文章や画像の中には、既存の著作物を学習した結果、他人の作品に類似した表現が含まれる場合があります。そのため、「AIが作ったから大丈夫」と安易に公開・利用すると、著作権侵害を指摘されるおそれがあります。特に商用利用を考える場合には、利用規約や出力内容の確認が不可欠です。

また、個人情報や機密情報の取り扱いにも細心の注意が必要です。AIサービスに社内データや顧客情報を入力すると、それらの情報が外部サーバーに保存・学習される場合があります。たとえ意図せずとも、第三者に情報が漏えいする危険性があるため、入力する内容は十分に吟味する必要があります。

さらに、生成AIの出力内容の正確性にも問題があります。AIはあくまで「過去のデータ」をもとに文章を作り出すため、必ずしも真実や最新の情報を保証するものではありません。特に法律や医療など専門性の高い分野では、誤った情報を信じて行動すると大きな損害につながる可能性があります。

AIを安全に活用するためには、「AIの出力を鵜呑みにしない」「入力情報に注意する」「利用規約を確認する」という基本を守ることが大切です。そして、もしAIの利用に関して著作権侵害や情報漏えいなどのトラブルが発生した場合には、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

AIは便利なツールである一方、その使い方を誤ると法的責任を問われるリスクも存在します。正しい理解と慎重な利用によって、AIの恩恵を安全に享受していきましょう。

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コンパクトにまとまっていて、分かりやすい文章ですね。しかも、トラブルが発生した場合には早めに弁護士に相談することも勧めてくれています。

われわれ弁護士も、生成AIにとってかわられることのないよう、日々研鑽を積んでいかなければと、身が引き締まる思いです。

 

弁護士 川田 浩一朗