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アメリカ大統領選挙

2024年11月5日、アメリカ大統領選挙の投票が始まり、トランプ氏の当選が確実となっています。
選挙前、どちらかというとハリス氏の優勢を報じる報道が目立っていたような気がします。「ハリス旋風」という言葉も飛び交っていました。私自身、知らず知らずのうちにハリス氏の勝利を信じていました。 

しかし、蓋を開けてみるとトランプ氏の圧勝という結果でした。
このような結果を受けて強く感じたのは、私自身、メディアの報道をあまりに鵜吞みにしてしまっていなかったか、ということでした。 

今回はアメリカ大統領選挙ですので、報道が日本の有権者の投票行動に影響を与えるということはありませんでした。しかし、メディアの報道が有権者の投票行動に少なからず影響を与えることは否定できないところであり、今回のアメリカ大統領選挙のようなことが日本の選挙でも起こることは十分にあり得ると思います。 

 選挙報道等に関して定めた公職選挙法第148条1項は次のように定めています。 

この法律に定めるところの選挙運動の制限に関する規定・・・は、新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌が、選挙に関し、報道及び評論を掲載する自由を妨げるものではない。但し、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。 

 何となく、メディアは各候補者を平等に扱わなければならないと思っている方も多くいらっしゃるのではないかと思いますが、実際には平等に扱わなければならないと定められているわけではなく「表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない」と定められているにすぎません。
 そうすると、露出の多い候補者もいればほとんどメディアに取り上げられない候補者もいるでしょうし、報道内容によっては、ポジティブな印象を抱かせたり、逆にネガティブな印象を抱かせる場合もあり得るでしょう。
 そのような報道自体がダメなことだとは思いませんが、そのような報道に接する私たち有権者は、その報道内容を冷静に見極め、自分自身の価値判断に基づいて投票行動をとる必要があります。
 これをもう少し具体的に表現すると、適度に“疑いの目“を持つことが大事だと思います。
 私自身、公私においてその視点を忘れないように心掛けているつもりでしたが、アメリカ大統領選挙においては、これを忘れてしまっていたことに気が付きました。 

ということで、自戒の意味も込めてこのコラムを執筆させていただきました。 

おわり